法テラスを使うメリットとデメリット

法テラスをご存知でしょうか?

正式名称は日本司法支援センターと言い、国によって設立された法的トラブル解決のための「総合案内所」です。
私は、住宅ローンの支払に困った時に、銀行から勧められて相談に行きました。

弁護士に依頼するとなると、とかく弁護士費用が高額になると思われがちですが、
法テラスでは同一案件に関しては3回まで無料相談に乗ってくれます。
また、正式に依頼した際にも一般弁護士事務所よりもはるかに安い金額で引き受けてくれます。

ただ、元々、お金に困っている人のために設立された団体であり、相談するためには一定の条件があります。
このページでは、法テラスを使う際の注意点やメリット・デメリット、上手な使い方を説明します。

法テラスの利用方法

法テラスに相談できる内容

法テラスでは、債務整理だけでなく、

  • 離婚問題
  • 職場のトラブル
  • 相続問題

など、一般的な問題に関しては何でも相談に乗ってもらえます。

弁護士に相談するとなると、まず、費用が心配になりますが、法テラスならば、同一案件に関して3回まで無料で相談に乗ってくれますので、まずは、電話してみてはいかがでしょうか?

TEL:0570-078374

法テラス利用の流れ

法テラスの利用の流れは以下の通りです。

Step1 サポートダイヤルに電話

まずは、電話で無料法律相談を受けたいことを伝えます。

サポートダイヤルにて状況を確認し、弁護士との相談日を決めます。
ただ、混んでいる場合も多く、打ち合わせまで2週間近くかかることもあります。

Step2 弁護士と打ち合わせ

法テラス事務所、もしくは、法テラスが契約している弁護士事務所にて打ち合わせ。

3回までは無料なので、まずは、一回相談されることをお勧めします。

法テラスでの費用

相談費用の相場

一般的な弁護士事務所での相談費用は30分で5,000円程度と言われています。
もちろん、有名な先生になれば、30分で20,000円という人もいます。

この費用が法テラスの場合は、同じ案件で3回まで無料で相談できます。

たとえば、最初に相談に行ったが、
その後、就職等で状況が変わった場合や
新たに質問が出てきた場合など3回までは無料で相談に乗っていただくことができます。

ただし、民間の弁護士事務所と違って、サポートダイヤルに電話した場合、
原則として、こちらから弁護士を指定することはできません。

また、相談だけでなく、その後の費用も一般の弁護士事務所に比べて、かなり安くなります。

正式依頼した場合に法テラスでかかる費用

任意整理の場合

債権者数 着手金 実費等 合計
1 32,400 10,000 42,400
2 48,600 15,000 63,600
3 64,800 20,000 84,800
4 86,400 20,000 106,400
5 108,000 25,000 133,000
6~10 151,200 25,000 176,200
11~20 172,800 30,000 202,800
21以上 194,400 35,000 229,400

なお、一般弁護士事務所では成功報酬金を請求するところもありますが、法テラスに依頼した場合は請求されません。

一般の弁護士事務所では、着手金の相場は1債権者当たり2万円~4万円、基本報酬金が2万円、減額報酬金が5%~10%です。

例えば、債権者が10社だった場合、法テラスでは合計費用が176,200円ですが、
一般の弁護士事務所では、着手金が20万円~40万円。これに基本報酬金20万円と減額報酬が加算されるところもあり、
合計で40万円~60万円以上かかることとなります。

 個人再生の場合

内訳/依頼先 司法書士へ依頼した場合
(書類作成)
弁護士へ依頼した場合
(代理人)
着手金 108,000 162,000~324,000
実費 20,000 35,000
合計 128,000 197,000~359,000

実費は固定ですが、着手金については、弁護士に依頼した場合、債権者数によって異なります。

一般の弁護士事務所に依頼すると、実費が3万円、着手金が32万円~52万円程度かかるので、
合計35万円~55万円程度かかります。

自己破産の場合

内訳/依頼先 司法書士へ依頼した場合
(書類作成)
弁護士へ依頼した場合
(代理人)
着手金 86,400 129,600~275,657
実費 17,000 23,000
合計 103,400 152,600~298,657

弁護士に依頼した場合、着手金は債権者の数によって変わります。

なお、管財事件となった場合、裁判所への予納金が20万円以上かかりますが、この費用に関しては、法テラスの立替対象とはなりません。
管財事件となることが予想される場合には、20万円を確保しておく必要があります。

自己破産の場合でも、一般の弁護士事務所に依頼すると、同時廃止の場合でも23万円~43万円くらいかかりますし、管財事件なら43万円~63万円くらいかかります。

以上のように、法テラスを利用すると、弁護士費用を大きく削減することができます。

費用の支払方法は?

また、法テラスの場合、費用は分割払いもOKです。
まず、法テラスが弁護士・司法書士に費用を立て替え、その後の費用は毎月5,000円~10,000円を分割して支払うという方法です。
手数料や利息もかかりません。また、生活保護を受けている人については、その費用が免除される場合もあります。

一般弁護士事務所よりも費用が安く、しかも、金利や手数料もかからない分割払いもできるなど、至れり尽くせりです。
ただし、そもそも高額な弁護士費用を払えない人のために設立された団体なので、利用にあたっては収入制限があります。

法テラスの利用要件

世帯人数によって、以下の収入を超える場合は法テラスを利用できません。

無料相談の場合

世帯人数 申込者と配偶者の
手取り月収
家賃や住宅ローンがある
場合に加算できる金額
合計
1人 182,000円以下
(200,200円以下)
41,000円以下
(53,000円以下)
223,000円以下
(253,200円以下)
2人 251,000円以下
(276,100円以下)
53,000円以下
(68,000円以下)
304,000円以下
(344,100円以下)
3人 272,000円以下
(299,200円以下)
66,000円以下
(85,000円以下)
338,000円以下
(384,200円以下)
4人 299,000円以下
(328,000円以下)
71,000円以下
(92,000円以下)
370,000円以下
(420,900円以下)

()内の金額は、東京や大阪などの大都市基準です。
同居家族が4人を超える場合は、1人あたり3万円(大都市の場合には33000円)を加算することができます。

民事法律扶助の場合

民事法律扶助業務とは、経済的に余裕がない方が法的トラブルにあった時に、無料で法律相談を行い(「法律相談援助」)、弁護士・司法書士の費用の立替えを行う(「代理援助」「書類作成援助」)業務です。

この場合にも、上記の収入の基準を満たす必要があり、さらに、財産に関しても規定があります。

財産が以下を超える場合には、この制度を利用できません。

人数 現金・預貯金合計額
1人 180万円以下
2人 250万円以下
3人 270万円以下
4人以上 300万円以下

法テラスを利用するメリット

これまで説明してきたメリットをまとめると次の二点です。

弁護士費用が安くなる

上述したように法テラスを利用する最大のメリットは、弁護士費用が非常に安くなることです。
一般弁護士事務所に依頼した場合に比べて半額程度になることがあります。

分割払いOK

また、毎月の支払も5,000円からで済むので、現金がほとんどない方でも依頼することができます
(ただし、裁判所に支払う費用は立替できません)。

しかも、生活保護受給者の場合には、完全に無料になるケースがあります。

法テラスを使うデメリット

ただし、一般弁護士事務所に比べ、全くデメリットがないわけではありません。

経験の浅い弁護士も多い

当然ですが、人気があり、仕事がいつも満杯な弁護士もいれば、そうでない弁護士もいます。
仕事がいつも満杯な弁護士は、法テラスの仕事まで受けている余裕がありません。

一方、あまり仕事がなく、法テラスからの仕事を待っている弁護士もいます。

このため、一般弁護士事務所に比べ、法テラス利用の場合は経験の浅い弁護士に当たる可能性が高くなるかもしれません。

もちろん、法テラスからの紹介でも優秀な弁護士は多数おられますし、一般弁護士事務所であっても経験の浅い新人弁護士にあたる可能性もあります。

法テラスだけでなく、多くの弁護士事務所でも、初回相談は無料となっていますので、法テラスだけでなく、一般弁護士事務所でも相談されることをオススメします。

そのうえで、自分の質問に的確に答えてくれて、しかも相性のいい弁護士を選ぶようにしましょう。

民事法律扶助の審査に時間がかかる。

民事法律扶助を利用すれば、安くなるというメリットはありますが、この審査に通るまで2週間~1ケ月かかります。
債権者からの督促に追われ、ストレスが溜まっている方にとってはツライ時期です。

法テラスの上手な使い方

法テラスを利用する場合、通常は、法テラスのサポートダイヤル(0570-078374)に電話して弁護士を紹介してもらいます。
打ち合わせは法テラス事務所で行われる場合もあれば、契約弁護士の事務所で行われる場合もあります。

ただ、この場合、弁護士を選べません。

一番いいのは知り合いに優秀な弁護士を紹介してもらい、その弁護士が法テラスと契約していれば、
その弁護士に「法テラスを使いたい」と依頼することです。

この場合であれば、自分で弁護士を選ぶことも可能です。

また、法テラスでも契約弁護士の電話番号を確認できるところもあります。

一度の相談だけで契約まで至る必要もないので、ぜひ、こういった方法も検討しましょう。

法テラスを活用することで、確かに、弁護士費用は安くなります

ただ、債務整理とは、場合によっては、
借金総額が数百万円から数千万円減額される場合があります。

弁護士費用を抑えたことによって、本来、減額されるはずの2,000万円が500万円になるかもしれません。

単なる目先のコストだけではなく、自分の納得のいく弁護士を見つけ、後悔が残らないようにしましょう。