債務整理といっても、弁護士に相談したことがない人にとっては、何を相談すればいいか分からないかもしれません。
しかし、準備をするかしないかで、その後の債務整理の方法が大きく変わっていきます。
事前準備を万端に整えて、弁護士との打ち合わせを進め、適切な債務整理が進められるようにしましょう。
最も有利に債務整理を進めるために
多くの人は何の準備もしないまま、知人に勧められて弁護士事務所を訪問します。
しかし、何も準備せずに弁護士を訪問したのでは、最適な解決策が見つかりません。
ここでは最も有利に債務整理を進めるため、弁護士を訪問する前に最も大切な7つの準備事項を記します。
自分に合った弁護士を見つけるために
一般人からすれば、最難関の資格試験を合格した弁護士の先生のイメージと言えば、
以下のようなものでしょう。
「法律上の問題については何でも知っており、質問すれば、
こちらの状況を勘案して最も的確なアドバイスをしてくれる」
「人間的にも誠実で、親身になったアドバイスをしてくれる」
「高級取りでもあり、親切心からこちらの収入状況に合った
適切な見積もりを提示してくれる」
もちろん、弁護士を志すような方は多くの人が上記のようなイメージに合った高い志を持った方でしょう。
ただし、残念ながら、全ての弁護士が高い専門性を持っているわけではありません。
当然、試験に合格したばかりの弁護士であれば、まだ、多くの経験を持っているわけではありません。
また、志は高くとも弁護士といえども人間です。
依頼者側もしっかりとした準備をしなければ、弁護士側も力が入らないでしょう。
また、初回相談については無料の弁護士事務所が多いですが、正式契約を結べば、時間に応じた対価を請求されます。
弁護士を訪問する前にできるだけ知識をつけ、短時間で効率的に、そして、自分にとって的確なアドバイスがもらえるようにしましょう。
こうすることで、自分にとって最適な弁護士を見つけられます。
最低限準備すべき事項
以下の7つの準備をするだけで今後の人生が大きく変わります。
また、当然、準備万端で相談に行った相談者と全く準備なしに行った相談者では今後の応対が大きく変わります。
相談に行く前にたっぷりと時間をかけて準備を整えましょう。
主な準備事項は以下の7点です。
- 借入一覧表の準備
- 財産一覧表の作成
- 必要書類の整理
- 毎月の収支表の作成
- 債務整理の種類
- 相談したい内容を箇条書き
- その他の確認事項(財産を現金化すべきか?債務整理後の生活方法など)
それでは、以下にそれぞれの詳細を説明します。
借入一覧表の準備
借入一覧表に書くべき内容を以下に記します。
借入一覧表を作成
債務整理を検討している多くの人が複数の貸金業者からお金を借りていることでしょう。
また、知人や親戚から借りている場合もあるかもしれません。
最終的に弁護士の先生からコンタクトしてもらうこととなりますので、以下の内容を表にまとめましょう。
- 借入先の会社名
- 郵便番号
- 住所
- 担当者名
- 電話番号
- 借金残高
- 毎月の支払額
- ボーナス払いの額
- 借金の目的
住宅ローンや車のローンの有無
住宅ローンや車のローンなどの長期ローンがある場合で、返済予定一覧表がある場合は、そのコピーも準備しましょう。現時点での借金残高が分かるはずです。
完済している貸金業者も含める
完済している貸金業者であっても、過払い金が発生している可能性がありますので一覧表に入れておきましょう。
過去の取引の場合、既に、借入先を忘れてしまっているかもしれませんが、借入先が分からなければ弁護士といえども連絡が取れません。
できる限り貸金業者を特定できるように、少なくとも現時点で存在している資料は全てファイリングしておきましょう。
税金や保険料の滞納をチェック
自己破産したとしても税金は免除されません。
また、日本では皆保険制度が導入されているため全員が健康保険に加入しなければなりません。
私も失業後、毎月の保険料と実際に1年間にお医者さんに払うであろう費用を計算した結果、
医療費を10割負担したとしても保険に加入しないほうが安いことが分かり、
一時は保険に入らないでおこうと決め、一時的に保険料の支払いも行いませんでした。
しかし、その後、皆保険制度の内容を理解し、慌てて滞納分を支払った経緯があります。
税金や健康保険料に関しては、当初は、民間の貸金業者ほど督促の追究が厳しくないため、つい支払を先延ばしにしてしまいがちです。
ただ、税金と健康保険料に関しては、たとえ自己破産が認められたとしても支払は免責されませんので、まずは、優先して支払ってください。
まずは、税金と健康保険料を優先して支払ってください。
また、税金と保険料の滞納があるようであれば、正直に弁護士の先生に伝えてください。
滞納が続けば、財産差し押さえの可能性があります。
借入に至る経緯を整理
お金を借りて返せなくなったことに関してはさまざまな理由があることでしょう。
自己破産を裁判所に申立をして免責決定を出してもらえれば、すべての借金の支払義務をなくしてもらえます。
ただ、自己破産には強力な効果がある分、いくつかの条件もあり、そのうち一つが「免責不許可事由」と呼ばれるものです。
免責不許可事由があると、裁判所からの免責許可が得られず、結局は借金の支払い義務がなくならないのです。
免責不許可事由の事例としては、
- 故意に財産隠しをした場合
- 一部の債権者にだけ支払をした場合
- 裁判所に虚偽の報告をした場合
- さらにギャンブルで大きな借金を繰り返した場合
などがあります。
せっかく弁護士に債務整理を依頼しても、借入の経緯について偽の報告をした結果、
免責不許可事由に相当すると判断され、免責許可が下りないケースもあります。
それぞれの借金についての借入経緯や借入理由を話せるように準備しておきましょう。
財産一覧表の作成
借入一覧表の後は財産一覧表を作成しましょう。
財産一覧表の作成
財産に関しては、現金や預貯金に加え、以下の物についても財産と認められます。
こちらに関しても内容を十分に確認しましょう。
- 現金(申し立て時に20万円以上ある場合)
- 預金、貯金
- 毎月の給料やボーナス
- 事業をしている場合には貸付金や売掛金
- 有価証券(株券や転換社債)、ゴルフ会員権など
- 自動車・バイク
- 過去5年以内において、購入価格が20万円以上した物(液晶TVやパソコン、貴金属類など)
- 不動産
自動車やバイクで型式が古く、中古販売ができないものもあるかと思いますが、上記に該当する物がある場合は全て一覧表に記載しておきます。
生命保険や個人年金の解約金も確認
日常生活においては財産と認識していませんが、生命保険や個人年金があった場合には、こちらも財産となります。
私の場合も掛け捨て保険だと思っていたソニー生命の保険が確認してみたところ、
120万円もの解約返戻金があることが分かりました。
生命保険のような長期契約保険に関しては契約内容の詳細を覚えていない人のほうが多いでしょう。
私のように掛け捨て型の保険だと思っていてもかなりの解約返戻金が戻ってくる場合があります。
自分が加入している全ての保険や個人年金について解約返戻金があるかどうか問い合わせをしましょう。
債務整理を考えている人の場合、日常生活にも困っている人が多いでしょう。
保険の解約返戻金が戻ってくるかどうか確認のうえ、戻ってくるようであれば、保険を解約し、債務整理の前に、まず生活費に充当してもいいでしょう。
そして、そのお金で何か月分生活できるかを計算し、そのうえで債務整理を弁護士に相談しましょう。
一般的には解約を申し入れてから2週間程度で解約返戻金が指定の銀行口座に振り込まれるはずです。
また、せっかく解約返戻金が入ってきても、自分が引き出す前にローンの引き落としがかかってしまう可能性があります。
ローンの引き落としがない銀行口座を指定するか、もしくは、新規で銀行口座を開設し、そちらに振込をしてもらいましょう。
必要書類の整理
借入一覧表や財産一覧表を作成する際に必要書類をとりまとめてファイリングしておきましょう。
こうすることで弁護士に正式依頼する際に二度手間が発生しなくなります。
催促状などの資料を準備
貸金業者からの催促状を開封して、内容を確認し、借金一覧表を作成しましょう。
その後、催促状などの重要書類は、ファイリングしておきましょう。
借金に関する資料を準備
住宅ローンなど長期に渡る借金の場合は、返済計画予定表や当初の契約書があると思います。
契約書を探してファイリングしましょう。
また、インターネットでローンの申し込みが完了する契約に関しては多くの方が契約書等をプリントアウトしていないでしょう。
必要に応じてインターネットからログインして、最新の残高等をプリントアウトしましょう。
ただし、ほとんどの場合、催促状にローン残高が明記されていると思いますので、債務整理を弁護士に装弾する時点では催促状の金額で十分です。
また、金利の支払等により借金残高も毎日変わりますので、最初の相談時点では、概算金額で十分です。
収入に関する資料を準備
無職の方は別として、給料など定期的な収入がある方は給与明細等を準備してください。
給与明細が紛失しているのであれば、銀行通帳の取引経過をコピーしても構いません。
また、個人事業主など事業を営んでいる方は収支明細を準備してください。
弁護士のほうでは借金残高と収入を勘案して適切な債務整理の方法をアドバイスしてくれます。
財産関係の資料を準備
不動産がある方は登記簿などの資料を準備してください。
ただ、最初に弁護士に相談に行く時点では必須の資料ではありませんので、資料の置き場所等を確認しておけば十分です。
債務整理の相談時に必要となる書類
弁護士に無料相談をお願いする時に、必ず必要となるものは身分証明書と印鑑だけです。
身分証明書は免許書か保険証。印鑑はシャチハタ以外であれば、ごく普通の認印で大丈夫です。
ただ、無料相談といっても無制限ではなく一般的には30分と決まっています。
したがって、以下の書類を揃え、できるだけ短い時間で効率的な相談ができるようにしましょう。
- 借入一覧表
- 財産一覧表
- 毎月の収支表(もしくは会社員ならば給与明細だけでもOK)
- 催促状やローンの契約書
ただ、全てを完璧に揃える必要はありません。
ある程度準備ができたら、まずは、無料相談を活用しましょう。また、弁護士との相性もあるので、複数の弁護士事務所と相談されることをオススメします。こちらの弁護士事務所は、何度でも相談無料です。
↓
毎月の収支表の作成
借金一覧表、財産一覧表に加えて、毎月の収支表も作成しましょう。
1ヶ月の収支状況整理
毎月の給与や平均的な支出(食費や水道光熱費、税金や保険料、各種ローンの支払い等)を
表計算ソフトに入力すれば、手持ちの現金等から何ヶ月生活できるかが計算できます。
今後半年間の収支予測表の作成
1ケ月の収支状況が確認できれば、次は、半年間の収支予測表を作成しましょう。
保険の解約返戻金がいつ戻ってくるか?
いつ頃から失業手当が入ってくるか?
といったことどをよく理解し、収支予測表を作成していれば、
安心して弁護士との打ち合わせに臨むことができます。
ぜひ、半年間の収支予測表を作成し、自分に最適な債務整理の方法を選択できるようにしましょう。
家計簿の作成
多くの人が債務整理を考えるようになる最大の原因は
お金の管理をしっかりとしてこなかったことです。
各種一覧表や収支計算表を作成するのを機会として、家計簿をつけることも検討してはどうでしょうか?
今なら、Zaimやマネーフォワードなど、スマホで簡単に記帳ができる家計簿アプリがあります。
債務整理の種類
資料をしっかりと準備したうえで弁護士と打ち合わせをした時に気づいたことがあります。
こちらの資料がしっかり揃っているほど、弁護士側は、こちらも基礎的な法律知識があると判断し、
会話の中で専門用語が多くなる傾向にあります。
基本的な債務整理の種類について理解していないと、話についていくことが難しくなりますので、
概要を以下に記します。
自己破産
自己破産とは、裁判所から借金の免責(支払の責任を問わずに許されること)決定を得るための手続きです。
つまり、借金が完全にゼロとなります(ただし、税金や健康保険の滞納についての支払義務は残ります)。
これは多重債務者にとって大きなメリットなのですが、当然、家や車、生命保険などの自分自身の財産があれば、それらは処分しなければなりません。
また、一部の職業には就けないなどの制限があります。
関係しない方も多いでしょうが、主な職業としては、生命保険募集人、不動産鑑定士、建設業者、旅行業者、有価証券投資顧問業者、警備業者、質屋、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士といった職業です。
また、 官報にも名前が掲載されてしまいます。ただ、官報を読んでいる人は、ほとんどいませんので、これは、あまり気にする必要はないでしょう。
任意(私的)整理
任意整理とは裁判所などの公的機関を利用せずに私的に業者と話し合い債務整理を行うことです。
借金を減額してもらい一括返済する方法や中間利息などのカットによる分割返済の方法があります。
ただし、債務者本人がクレジット会社と直接交渉してもなかなか交渉に応じてくれません。
現実的には弁護士に依頼し、弁護士から各業者へ交渉して頂くことが一般的なスタイルとなります。
調停による整理
債務額がそれほど大きくない場合には任意整理のほかに調停制度を利用するという方法もあります。
裁判所の調停委員が当事者間のあっせんをして合意を成立させる方法です。
調停による整理の最大のメリットは、費用がほとんどかからないことです。
通常、弁護士に依頼する場合は、数十万円の費用が発生しますが、
この場合、専門知識のある裁判所の調停委員に依頼をするため、費用がほとんどかかりません。
ただ、あくまで業者が合意しなければ成立しませんし、業者が出頭してくれなければ、そもそも話し合いにもなりませんので調停では拉致があかないケースも考えられます。
個人再生手続き
個人再生手続きは、
- 住宅ローンを除く負債総額が5000万円以下の個人で
- 将来において一定の収入を得る見込みがある個人
であれば利用できる制度です。
逆に言えば、
住宅ローンを除く負債総額が5000万円以上(これに該当する人は相当少ないと思いますが)あるか、もしくは、一定の収入を得る見込みがなければ、
この手続きを利用することは相当難しくなります。
したがって、個人再生を利用しようとする時点で無職や生活保護を考えている人にとっては
利用できない方法です。
自己破産においては、住宅も没収されてしまいますが、この制度であれば、
住宅ローン以外の借金を圧縮することができます。
おおよその目安として、以下の金額を超える分の金額に関しては借金の返済が免除となります。
100万円未満の人・・・・・・総額全部(100万円未満の金額は返済義務があるので、
個人再生手続きを使うメリットがありません)
100万円以上500万円以下の人・・・・・・100万円
500万円を超え1500万円以下の人・・・・・・総額の5分の1
1500万円を超え3000万円以下の人・・・・・・300万円
3000万円を超え5000万円以下の人・・・・・・総額の10分の1
例えば、1500万円の借金がある場合、
借金が1/5に減額されますので、300万円まで減額されます。
この金額を3年間で返済できれば、残りの1200万円が免除される制度です。
安定収入があり、自宅を維持したいという人にとっては、非常にメリットのある制度です。
弁護士と相談した際に、
「自宅を維持したいかどうか」
「安定収入があるか」
ということを質問されることが多いですが、
個人再生が利用できるか、または、自己破産すべきかの判断基準となります。
自宅を残したい。
家族と一緒に生活したい。
ということであれば、非常に大きなメリットのある制度ですので
「家族と協力して人生をやり直したい」
という方であれば、できるだけ早く再就職するなどして安定収入を確保し、
個人再生手続きを利用したほうがいいでしょう。
訴訟による整理
訴訟による整理は任意整理や調停とは異なり、訴訟で債務を整理することとなります。
こういったそれぞれの債務整理の概要を理解したうえで
弁護士との話し合いに進めば、効率的な打ち合わせができます。
また、あなた自身であなたに合った弁護士を選べるようになります。
相談したい内容を箇条書き
どうすれば、弁護士と円滑な打ち合わせができるか考え、相談したいことや報告したいことを箇条書きにしましょう。
自分の情報の整理
弁護士は、あなたの収入や家族状況を踏まえて、あなたに適切な債務整理の方法をアドバイスします。ですから、正直に現在の状況と希望を話せるように準備しておきましょう。
例えば、家を維持したいのか、もしくは、手放してもいいのかによって債務整理の方法も異なってくる場合があります。
相談したい内容を箇条書き
とにかく疑問に思う点については箇条書きにしておき、もれなく相談しましょう。
例えば、以前、私が弁護士に質問した内容は以下のようなものでした。
以下が作成したメモです。
「借金の状況は別紙の借金一覧表の通りです。
8月20日に失業してから、現在、収入のメドが立っていません。
現在の状況では、支払の見込が立たないため、自己破産手続きを進めたいと考えています。」
報告事項
- 失業手当は11月から約20万円ほど約半年間支給の見込
- 就職活動を進めているが、全く未定。3社応募。2社NG。1社回答待ち。
相談事項
- 毎日、複数の業者から電話がかかってくる。法テラスで弁護士の先生に相談することも話していなかった。今後は、どのように対応すべきか?
- 市民税に関しては、10月末で19万円。1月末で19万円の振込用紙が届いている。これは、必ず支払う必要があるのか?分割で依頼した場合、どの程度の分割なら許容してもらえそうか分かりますか?
- 住宅に関しては、これまで不動産会社に任意売却の依頼をしていた。9月中旬に広告が掲載されたが、まだ、実際に家を見に来た人は一組だけ。こちらは、どのように対応すべきか?破産手続き開始・免責許可の申し立てをするまでに売却できる見込みはかなり薄い。
- 電気・ガス・電話などは、まだクレジット払いのまま。即刻、その他の支払方法へ変更すべきか?
- 破産開始手続き開始~免責許可決定まで、およそ、どの程度の期間が必要か?
- 破産開始手続き開始~免責許可決定までの間に、十分な収入が入る予定となった場合は、どのようになるか?例えば、12月に就職が決定し、2月初旬から出社。2月末からは毎月手取りで50万円の収入が見込める場合。この場合、一括返済は不可だが、分割で、かなりの返済が可能となる。ただし、一年半前も同じような状況に陥った。実際には借金返済で精いっぱいの状況であった。もし、その時点で、アルバイトをしており、15万円の月収だった場合は?
- 支払が溜まっているが、何から優先して支払うべきか?
(ア) 市民税、名古屋に住んでいた時の水道・ガス代、固定資産税が12月25日に支払期限、健康保険は現在入っていない。知人で生命保険を解約した途端にガンになったという話をよく聞くので、可能であれば、生命保険12000円は継続したい。
(イ) その他の注意点は? - 破産手続きの後、ローンが溜まっている住宅はどうなるか?三菱東京UFJ銀行が第一抵当者で、現在は、ローン保証会社に債権が移っている状態だが。
(ア) およそ、いつまで住めるのか?
(イ) 実家に戻る予定だが、廃棄が必要な家具やガラクタが出てくる。こういったものの処分費用は家を退去する前に自分で処分する必要があるのか?
(ウ) 立ち退きの際に、身体ひとつで出ていけばいいのか?債権者と相談か?
(エ) 住宅が競売となれば、破産管財人は立たないのか?信用保証会社からは元々任意売却の話をした時に年内に売却のメドが立たなければ、競売と言われていた。 - ヤフオクやメルカリで売れるものがいろいろある。もう高額商品はないが、1万円前後のもの。これらは、販売しても良いのか?あるいは、申し立て開始以降は販売不可。
自分自身の疑問点・相談事項をまとめて、30分以内に打ち合わせを終えられるようにしましょう。
その他
その他の懸案事項を以下に記入します。
財産を現金化すべきか?
複数の弁護士に聞きましたが、これに関しては意見が分かれます。
個人の破産の場合には,生活に必要となる最低限度の財産、または、あまりに廉価で処分コストのほうが高い財産については,自己破産したとしても,処分しなくてよいことになっています。
例えば、歯ブラシや食器類のような日常必需品まで没収されることはありません。
また、昔のVTRのような古い電化製品も売れば1,000円程度になるものもあるでしょうが、破産管財人が売却するとなると、売却する手間やコストのほうが高くなってしまいます。
この処分しなくてよい財産のことを,破産者が自由にできる財産という意味で「自由財産」と呼んでいます。
自由財産に関しては主に以下のものがあります。
- 破産手続開始決定後に取得した財産(新得財産)
- 法律上差押えが禁止されている財産(差押禁止財産)
- 99万円以下の現金
弁護士に相談に行くまでは、銀行の総合口座に入っているお金も“現金”と認識していましたが、
総合口座や普通口座に入っているお金であっても、それは“預金”と認識されます。
つまり、手持ち現金のみが“現金”として認識されます。99万円もの現金を自宅に保有しているのは不安だというのは分かりますが、現金として保有しているのも一案です。
また、現金で着手金を用意していなければ、自己破産や個人再生手続きを請け負ってもらえない可能性があります。
こう考えると、現金に換金できるものは全て現金に換金して手元に置いていたほうがいい?
とも考えられます。
幸い、ヤフオクやメルカリの発達により昔なら換金するよりも処分するほうが安かった古い電化製品でも1,000円程度で販売できるケースが多々あります。
こういったものでもチリも積もれば山となるで、10万円~30万円程度の現金になるケースがあります。
ただ、なんでもかんでも現金に換金した場合、破産管財人から財産隠しと勘繰られる可能性があると心配する弁護士もいます。自分の信頼できる弁護士とよく相談したうえで対策を決めましょう。
また、後日、収入明細が分かるように記録を残しておきましょう。
弁護士と司法書士の役割
このサイトでは話を分かり易くするために債務整理の代理人は“弁護士”ということで話を進めてきました。
ただし、司法書士も「書類作成代理人」として自己破産・個人再生申立書の作成ができます。
これに対して、弁護士は本人の「代理人」として自己破産・個人再生申立をする、という違いがあります。
しかし、司法書士は書類作成の代理しかしてはいけないのかというと、そうではなく、書類の準備から裁判所に破産申立書を提出して免責決定を受け取るまでの“サポート”が可能です。
サポートが可能であると書いたのは、弁護士と比べて、いくつかできない点があるからです。
まず、第一に自己破産や個人再生の申し立てをすると、裁判所で裁判官との面談が行われる場合があります。これを「審尋」と言いますが、これに弁護士は代理人として同席できますが司法書士は同席不可です。
次に、任意整理の場合、司法書士は債権額が140万円以下の場合に限り、任意整理の手続きが行えます。
この140万円の基準は「個別の債権ごとの価額」なので、50万円の債権が4つといった場合には対応可能です。
こういったデメリットはあるものの一般的に弁護士よりも費用が安くなるため、司法書士を選択される人もいます。
まずは、債務額で弁護士に依頼するのか、司法書士に依頼するのかを判断しましょう。
債務整理後の生活方法検討
最終的に一番大切なのは債務整理後の生活です。
多重債務者の場合、貸金業者からの取り立てが厳しくストレスが溜まります。
ただし、一番大切なことは債務整理後の生活再建です。
これから、どうやって生きていくか、複数の方法を考えて、今、できることに全力を尽くしましょう。
昔とは違って、様々な仕事やビジネスチャンスがあります。
例え、自己破産したとしても、いくらでも人生をやり直せます。
自暴自棄にならず、これからの人生を前向きに考えましょう。
そのためにも、まずは、できるだけ早い時期に債務整理に強い弁護士に相談しましょう。