リストラ等により失業し、債務整理を検討せざるを得なくなった人も多いでしょう。
この記事では自己都合退職と会社都合退職の違いを書いています。
退職の理由によっては失業給付金が倍くらい違ってくる場合もあります。

会社都合退職とは?

会社の経営不振等や倒産により、リストラされた、失業したなど、会社側の都合により退職せざるを得なくなった場合のことを言います。

また、会社側がリストラの一環として用意する早期退職優遇制度を利用して会社を退職した場合も会社都合退職とされます。
バブル崩壊の直後では、大手銀行や大手電機メーカーが盛んに早期退職優遇制度を実施し、て多くの管理職をリストラしていました。大手の会社では5,000人の部長職に対して早期退職制度を実施、一人当たりの退職金が5,000万円を超えた会社もありました。

自己都合退職とは?

転職や出産等の自分の都合により退職した場合のことを言います。

この場合は、会社都合退職に比べ、給付日数が少なくなる、給付開始時期が遅くなるなどのデメリットがあります。
なお、会社都合退職の場合は、会社側にとってもブランド力の低下や各種給付金のカットなどのデメリットがあります。
このため、会社によっては、会社都合退職であっても、自己都合退職と記入させる場合があります。後日、トラブルが発生しないように退職理由を明確にしましょう。

給付金支給開始時期と給付日数

給付金支給開始時期は自己都合退職と会社都合退職で大きく異なります。

自己都合退職の場合の給付金支給開始時期

離職票提出日+7日待機+3か月後

ただし、会社を退職した日にその日に離職票がもらえるわけではありません。

私の場合、8月20日に退職して、会社から離職票が送られてきたのが、約1か月後の9月20日前後でした。
すぐに、離職票をハローワークに提出しましたが、7日間の待機期間がありますので、ハローワークで初回認定日とされたのは9月28日と1ケ月以上の期間が必要でした。

自己都合退職の場合、この日から給付制限が3か月間あります。その後、振込の事務手続き等を最大1週間考えますと、実際に退職した日から最初の失業給付金を受け取るまでに4か月以上かかります。
債務整理を考えている場合には、まず、この4か月間の生活資金の確保を優先しましょう。

自己都合退職の場合の給付金支給日数

自己都合退職の場合の給付金支給日数は以下の通りです。

年齢に関係なく加入期間で

1年未満 なし
1年以上5年未満 90日
5年以上10年未満 90日
10年以上20年未満 120日
20年以上 150日 

自己都合退職の場合の給付金支給額

給付金については、過去6ケ月の賃金日額と年齢、勤続年数によって決まります。
詳細については、ネットで「失業手当 給付金 計算」で検索しますと、計算できるサイトが多数表示されますので、検索してみてください。

なお、賃金日額ですが、これは「退職前の6カ月間の給与÷180日」です。

賃金日額=退職前の6カ月間の給与÷180日

また、ここで言う給与は給料に残業手当などの各種手当を含めた金額のことです。ただし、ボーナスは含めません。
この賃金をベースに年齢を加味して給付金額を計算します。年齢によって異なりますが、賃金日額の50~80%が基本手当日額となります。

給付金の上限

収入が多い人でも以下の通り、上限があります。また、金額は、勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに、毎年8月1日に改訂されます。平成29年度で言えば、以下の通りです。

離職時の年齢 基本手当日額の上限額(円)
29歳以下 6,710円
30~44歳 7,455円
45~59歳 8,205円
60~64歳 7,042円

会社都合退職の場合の給付金支給日数

会社都合退職の場合は、下表のとおり、勤続年数と年齢によって、90日~330日になります。

1年未満 1年以上~5年未満 5年以上~10年未満 10年以上~20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 該当なし
30歳以上~
35歳未満
90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上~
45歳未満
90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上~
60歳未満
90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上~
65歳未満
90日 150日 180日 210日 240日

会社都合退職の場合の給付金支給額

給付金支給日数は異なってきますが、計算方法は自己都合退職の場合と同じです。

私の場合で言えば、
離職時年齢53歳、勤続年数1年半、会社都合退職で
給付日数 180日
基本手当日額 8,205円
支給総額 1,476,900円となりました。

自己都合退職から会社都合退職へ切り替え可能な場合

リストラや解雇の場合を除き、自ら退職届を記入した場合は、いかなる理由があっても、自己都合退職だと認識している人も多いでしょう。

ただし、以下の場合には、ハローワークで会社都合退職と認定される場合もありますので、ハローワークへ行った際には、退職に至った経緯を詳細に説明しましょう。
私の場合も、これで、失業給付日数が90日から180日へと倍に伸びました。

事業所移転で通勤が困難になった場合

経営不振により、地方の事務所や営業所が閉鎖になるケースがあります。転勤なしの条件で採用されたのに、他の営業所への配属を命令され、通勤が困難(往復4時間以上)になり、退職に至った場合は、会社都合退職とされます。

給与が85%未満に減額された場合

私の場合がこれに相当しました。
業務成績が悪かったわけでもないのに給与が20%以上カットとなり、経営陣から他の会社への転職を勧められました。ただ、自分から退職届を提出しましたので、自己都合退職だと思っておりました。また、会社の人事からも離職届には、自己書類の欄にチェックをするようにと言われました。

ただし、ハローワークで離職理由を質問された際、給与の大幅減額を説明すると、

「会社都合扱いになる可能性がある。
ただし、実際に給与が85%未満になったことを念のため会社側に確認する必要がある」

と言われました。

ただ、一ヶ月経過しても連絡がありませんでした。当時は、手持ち資金が底をつきそうになっていたため、心配になってきて、ハローワークに問い合わせの電話をしました。

会社側が「本人が辞めたいと言ったから自己都合退職だ」と言い張っているのかもしれないと思ったのです。会社側にとっては、会社都合退職となるともらっていた補助金がカットになるといったデメリットがあります。
こちらからも何か抗弁する必要があるのかと思ったのですが、そうではなく、いつも事務手続き上だいたい一ヶ月くらいかかるそうです。特に、こちらから抗弁する必要はなく15%以上賃金カットになっていれば、その他に余程の事情がない限り、会社都合となるとのことでした。
それから1週間後くらいに、認定が遅れたとのことで、遅延分を含めて1ケ月半分くらいの給付金が振り込まれてきました。

健康保険の継続もあきらめかけたくらい逼迫していましたが、健康保険も継続することができました。

給与や業務内容が契約と異なる

技術職として入社したのに、販売員に転勤させられたといった場合です。
株式が大幅暴落した時にはファンドマネージャーとして入社したのに、暴落後、セールスマンに移動させられ、退職に至ったといったケースがあります。

給与支払いの遅延・滞納・未払い

経営不振により、給与の遅延が発生しだしたような場合です。

残業時間45時間以上が3ヶ月間継続した

大規模プロジェクトの立ち上げがスムースに行かない場合などは、こういった事態が発生します。
これが元で体調を崩し、退職に至った場合などは会社都合と認定されるケースがありますので、退職前に会社とよく相談してください。

会社都合で休職を命令され、休職が3ヶ月間以上続いた。

食品偽装問題などの会社の不祥事におり、一時的に事業の継続が難しくなり、休職を命令され、その期間が3ヶ月間を超えたような場合です。

会社が法令違反を起こした

既に、行政指導が来ているにも関わらず、それを是正しなかった場合などがこれに該当します。
また、まだ法令違反自体が発覚していない場合には、自分で証明する必要がありますので、ハローワークと相談してください。

退職する前には、これらのことを把握し、かつ、給付金が出るまでの生活資金を準備したうえで、退職するようにしましょう。